満月の夜、それは力が1番強くなるとき 

己が己ではなくなるとき 

誰にも見られたくないとき 

そんな辛い思いをしてまで呪印として首筋にある
“呪い”は私にとっては何______?   

 

++A white fox named nine -1- ++ 


「蜜柑、時間だよ。」 

いつものように親友に声をかける。
かつての彼女なら笑って自分の名を呼んだであろう人物。
今の彼女に表情は存在しなかった。 


「もうそんな時間・・・?」

「そう、”学園“に行かなきゃ。」

「う・・・ん。」 

私達の今回の仕事は、日本のアリス学園“襲撃”を前提とした下調べである。
けれど、とても辛そうな蜜柑を目の前につい言ってしまった。 

「大丈夫?・・・今回は降りる?」

「ううん、大丈夫。それにどんな形であろうと・・・みんなに・・・・・・棗に会いたい・・!」 

私が知っている蜜柑は、どんな時でも冷静の蜜柑。
最初会ったときとは確かに性格は違う。
けど今でも、『日向 棗』をの単語を聞いたら涙を流す。
その他の友達の名前はなんとか耐えているようだけど・・・
彼、通称:黒猫のだけは我慢できないみたい。

どんな生活をしていたのかは分からないけど・・
どんな関係だったのか・・・・それだけは分かる。 

「もう3年経つ・・・・。」 

落ち着いたのか、一言つぶやく蜜柑。
蜜柑が学園を・・日本の学園を出てからの日数だった。
静鈴が通っていた学園をでてからの日数でもあったが・・・。  


ドンッ 

 

「そろそろ行かないと。静鈴、力の使いっぱなしは疲れたやろ?
 仕事であまり無理したらダメやで?」
「うん、分かってる。」 

冷静な蜜柑に完全に戻っていた。
扉を開け、一歩進めば佐倉 蜜柑という人間は“白狐”となる。
 

「やっと出てきたか。失敗は許されない、分かってるんだろうな。」 

声フェロモンのレオ。蜜柑は無言で返し、静鈴はシャクに触ったのか・・ 

「1回失敗したそうじゃない。あんたにいわれたくないね。“失敗したくせに“」 

『失敗』というところを強調しながら言い返した。
その時のレオの引きつった顔は見物だった。


「GOOD LUCK」



静かに発された言葉は暗殺部隊・最高司令官・・「ハデス」だった。
一言、”幸運を祈る”と言われた。「いい情報を待っている」という意味を含まれていた
「気をつけて。」と微かにジェスチャーを蜜柑に送っているのは
暗殺部隊・最高司令官補佐だ。
静鈴には「しっかりしろよ」というジェスチャーが送られた・・。 

 

第一難関は蜜柑の秘密を知られてはならないこと。 

     

漆黒の闇に白狐の面を被った少女と、
髪を靡かせながらあたりを警戒している少女の姿が
走り去っていった___________

 

++続く++