++A white fox named nine -3-++




「棗、佐倉 蜜柑のZのメンバーであることは確実だろう。…分かっているな?」
「________っ」

とりあえず、蜜柑・静鈴は学園に入ることが出来た。予想外の方法で…。

「待てよ」

ペルソナの行動を制す。

「お前なら…あの時にでも命令したはず。んで、あの時、言わなかった…?」
「…………。首筋にあった呪印、あれが気になった。」
「呪印…。」

気付かなかったか?というような視線を棗に浴びせ簡潔に説明する。
“Z”は九尾の力を手に入れたと聞く。
と、本当に簡潔な説明を…。
けれど棗とて、だてに危険能力系にいるわけではない。その存在は知っていた。

「………あれが…?」

嘘だろ…と出す声が、弱々しくなるのは目に見えていた。

「棗、 お前と佐倉蜜柑の関係は知ってる。…いや、分からせたのが悪かったな。」
「………。」

「お前の今回の任務。佐倉 蜜柑を処分しろ。
 と言いたいところだが…一緒にいた女が気になる。」
「つまり…今回の任務はそいつについて調べろってことか。」

分かってるな。と無言の答えでその場を去っていく。
1人残された棗。手は握り締めて、愛しい彼女の名前を口にする。

「蜜柑」
「何?静鈴」

と聞き返しても、大丈夫という。

「もうとっくにバレてる」
「だよね…。蜜柑。」
「わかっとる。ここでは、この口調。癖って怖いってよ〜く分かりました。」

クスクス…と静鈴は笑ってみせ、どうする?と問う。

「たぶん、棗あたりやろね。」
「そうだねぇ…黒猫さん♪」
「……そんなに嬉しいん?」
「うん、蜜柑の彼氏さんに会えたことが〜♪」
「ななな//////////」

うん、こういうとこは最初会ったときから変わってないんだよね、実は。
…と、明後日の方向を向いてペロッと舌を出す。

「まぁ、からかいはここまでとして、戻る?」

「からかうなっちゅーに。………は?Zに?今更?」

そう、今更。
学園にここに来たことは伝えて無くても分かってるだろうし、Zに帰ると言うことは
仲間だと決定的な理由。

「ま、待ってても助けには来ないだろうし。あ…あいつは別かも。」
「あいつって…柚季?…本当に嫌いなんやね、静鈴。」
「まぁね。」

暗殺部隊・最高司令官補佐:安積 柚季をあいつ呼ばわりする
静鈴の度胸も中々のものだろう。

「で、用があるんでしょ?」

クルリと後ろを向き、静鈴は問う。
日向 棗兼黒猫に。

「……棗、この子は静鈴。
 アリスは時のアリス。……あちこちの学園からお払い箱になってZにいる。」
「受け加え、空間のアリス。過去や未来に行くことは出来ない。
 けれど…特定の人、ねらった獲物の時間を早めたり遅くしたり
 新たに空間を作ったりと、そういうアリス。」
「………。」
「それから、静鈴っていうのは偽名ね。」
「ペラペラと素性を話すとはな。」
「まぁね。ここの学園に恨みとか反感というより…個人的な興味があってね。」



自分を売る。



「静鈴。とりあえず…外に出よう。」

蜜柑の言葉が合図となり、力を発動させる。

「蜜柑の力も知りたいだろうね。でもね…教えるわけにはいかないんだよ。
 その代わり私のアリスを見せてあげる。
 空間のアリス___________________」

蜜柑・静鈴・棗がいた場所には既に誰もいなかった。




「ここは……」
「私の作り出した空間。」

簡潔に答え寛ぐ。
蜜柑はその場にバタンと倒れ、静鈴に問う。

「棗はいったいどうするつもりなん?」
「な…」
「ううん、どうしたいん?ウチは…静かに暮らしたい。だから、学園に向かった。」

なぜ?と棗に疑問を持たず、時間も待たずに蜜柑は続ける。

「学園、みんなに会えばどうしたいかどうするべきか分かる気がしたから。
 …分かると思った。」

Zにいたくない。
…確かに、Zに友達も出来たよ。静鈴っていう。
でも、学園にも友達はいる。…ウチはまだ友達とおもってるけどな。
でも……もうどちらにも居たくない。
だから、どうするか迷った。


今まで蜜柑の声を静かに聞いていた静鈴が口を開ける。

「私のアリスは後、3時間だよ。
 3時間経てば……さっきいた場所へ戻る。」


選択は3つ。

「なぜ、俺が此所にいる理由をまず聞こうか」

冷静に判断を下す棗。
けれど、その問いに答えるものは居なかった。

「蜜k」


ツキーンッ


静かに音を立てて空間が崩れていく。

「ごめん、外部からの刺激に耐えられなかったみたい。」

そう言い、静鈴は倒れ込む。

「刺激させるとはね…さすが、ペルソナ。」

とも付け加えて。

「……やはりお前か、空間使い。けれど、お前の力はそこまで強くない。」
「黒猫に気を取らせた。そうでしょう?あんたはトコトン、騙すのが上手いわね。」

蜜柑と棗は2人の会話を驚きながら聞いていた。

「お前ほどじゃない。どうするつもりだ、棗。」
「……?!」
「静鈴…どういう事なん?!」

観念したかのように、今まで決して口にしてなかったであろうことを口にする。
「ペルソナとは知り合いなの。お互いに情報をやりとりしている。」
「え…?」
「蜜柑、忘れたの?学園に奇襲する、と言われたとき“調べ”はしたほうがいい。
 …って言ったのは私よ。」

尚、黙って続きを求める。

「……あなた達に選択肢を与えるために。」

静鈴の声は大人びた女性の声へと変わった。

「私は、アリスの効果というべきかしら、この姿から成長もしなければ
 年取ることもしない。けれど――――」
「静鈴、今、選択肢って言ったん?何の?!」

何を言う必要がある?
そういう眼差しで見られ、蜜柑は棗を見る。

「……まさか、このままにするつもり?」

と、1つの思いつきをいう。
でも、いいえと首を振る。“…分かっているでしょう?蜜柑”と優しげな声で。

「……逃がす。違うかペルソナ。」

棗の問い。
「いったん身を学園でもZでもないところに退けと。」
と続けて言う。

「そうだ。学園側にとって、奇襲は別に構わない。
 けれど、お前達2人の力を利用されるのは目に見えているからな。」

学園崩壊のために、跡が1つも残らないように。

「学園の崩壊は、さすがに困るからな。」
「校長の案よ。」

静鈴の声、でも見渡す限りどこにも居なかった。

「静鈴、いったい誰なん?」

そう、問う蜜柑。答えは返ってこないと想いながら

「私は常に中立の立場にいるの、白狐さん♪
 楽しかったわ、有り難う。
 “時間”が経ったらこの空間は無くなるわ、その時に外に出るといい。
 私は、あなたがその呪印を背負ってどういう風に生きていくか、見守ってるわ。
 じゃ、元気でね〜黒猫君も。」

それきり、声が途絶えた。




ペルソナ曰く、会う度に名前が違うと言う。
彼女については一切の不明。
けれど、中立の立場ということで、学園の味方をする時も
組織の味方をする時もあるらしい。




『「見守ってる」か…』
「蜜柑?」
『ううん、なんでもあらへん。
 結局、学園を選んだウチらって、なんなんやろね。』
「さぁ?」
『………そういや、柚季…何してるんやろ?』
「柚季って誰だよ。」
『誰でしょうね』
「###蜜柑、覚悟は出来てるか?!」
『あはは〜♪(逃げ)』




今は、何があっても楽しく過ごしているようです。
…これは、彼らの一部分を見たに過ぎない。
だから、これからどうなるかは分からない。


道しるべがあるわけではないから______。




蜜柑のやつ、誰かに似てきたな##




楽しく過ごしているのです________




*end*


投稿者からのコメント

こんにちは。
…覚えてます?白神 銀那です。

いい加減な終わりとは言わずに…(汗
そして、中途半端と言わずに…。
でも、長いのは認めます。これだけ長いですよね(?)
最後は、なるべく普通のカップルで終わらせたくて、こんなのになったのであります。
ではでは、読んで下さり有り難うございました!

では、失礼します。           白神 銀那